: Neo definition
テーマは『不確かなモノと定義』
中心部分は水墨画に見立てたコードヴァン。
その他の部分は手漉きの和紙で製作。
私がコードヴァンを靴、カバン用に大量に購入した際に革の色は全て黒をオーダーしていましたがオーダーと全く違う美しく水墨画の様な色味の革が混入していました。
コードヴァンは通常の革と違い表側と裏側を漉いた繊維の中心部分であるコード層という部分の革を指します。コードヴァンが革のダイヤモンドと言われる所以は革の両面を磨いて(掘って)見つかる部分から来ています。
コードヴァンの染色は通常ナチュラル色(肌色)であり片側を染料とワックスで磨いて染色します。
私がこの時にオーダーした革の染色方法は染料に付け込んで染色する方法でした。
革はタンパク質繊維の集合体です。
コード層は特にタンパク繊維の密集が強い部分でありその部分はどういった大きさ、形などは同じものは一つもありません。
今回使ったコードヴァンの表面色は黒い部分とベージュの部分が美しくまだらになっています。ベージュの部分はタンパク質が特に密集していて黒の染料が入らなかった部分なのです。
オーダーした内容からすると染色に失敗した革なのですが、個人的にはとても美しい水墨画のように思えたのです。
実際に約100頭分からこの状態の物は2枚だけでした。
考えて作る事が出来ない美しい発見とこの奇跡の出会いを大切にすべく、通常の商品としては使わず個展用のアート作品に使う事を決めました。
使用した和紙も同じように1枚の紙に対して4色混ぜて紙を漉き乾燥後にやっと色の確認が出来るように曖昧に染色指示をしました。
染色してみないとわからないタンパク質繊維の集合体と乾燥後に確認できる植物繊維の色味という不確かなモノと天然の美しさを日本の掛け軸黄金比に閉じ込めた作品として制作しました。
Created:2016年
First Exhibited: Dark lands Berlin / Gallery SUGATA Kyoto
Material: Japanese paper / cordovan / acrylic
SIZE: 144.5cm(H)×37.5cm(横)×108cm(W)×1.5cm(D)