: Anatomy hanger 2.0
Anatomy Hanger 1.0からの制作過程を説明させていただきます。
今から約14年前にモノづくりを始めたのですが東京:恵比寿にて初めて展示会を 開催する際に初めに製作を取り組んだモノが什器とハンガーでした。まず先に当時制作した什器の説明をさせていただきます。
什器名:MINIMUM:MAXIMUM(最小面積・最大容量)
材質:鉄 サイズ:120cm×160cm 高さ:200cm
MINIMUM:MAXIMUMは接客コンセプトを優先して考えた什器です。120cm×160cmの面積にAnatomy hangerを使い約48着の服を掛ける事が出来ます。什器に服が掛かった全体像は服が集積され大きな筒状となります。もちろんお客様が通常の店舗のように自分で好きなように手に取り全ての服を見る事は難しく当然接客が全てを左右します。
対応する接客側がお客様と会話をし、お客様に合った商品を接客者が48着の中から選び、その筒状から少しずつお客様へご提案するのです。お客様はソファーに座るか、鏡の前に立ち会話を楽しみながら買い物を楽しみ自分を彩る。これは全ての商品を見せないという事ではなく、お客様との時間を共有し接客の会話により新たな発見を優先した考えです。
・・・なんと現在のあらゆる店舗では考えられないパンクな精神でしょうか。今現在やこれからの未来と全く逆行していますね。ですが今でも服に限らず接客やおもてなしとはこういう事だと考える自分は今も変わっておりません。
ハンガー:Anatomy hanger1.0
材質:ブナ材
ハンガーの形状についてはある時の気づきから始まりました。モノづくりは全てそうなのですが・・・服の原型制作の際に仮縫いした上着を衿部から首の後ろ部分に手の甲を上にして仮縫いした上着をその手に掛けて服の下がり面を見ていた際に感じたことは手の大きさという最小面積でハンギングされる姿が自分の考える立体パターンを一番表現できると考えました。結果ハンガーの大きさは私の手より少し小さいサイズとなり、重力の中心部分を人体に合わせ僧帽筋の形状を参考に形を作り始めました。
このハンガーを実際に形にするには沢山の時間と制作に対して協力していただく会社が必要でした。ハンガーの形状や理論などやりたい事は固まっていましたので無我夢中でネンドを使い原型と呼ぶには程遠い、愛らしい情熱の塊を作った事を覚えています。その‘愛らしいヤツ’を持ち込んだのは中田工芸株式会社でした。青山にショールームSHOPがあり礼儀知らずの私は‘愛らしいヤツ’と根拠の無い自信を武器に殆ど丸裸で乗り込みました。
個人事業として立ち上げまだ半年ほどの片手にネンドを持った様子がおかしい私・・・相対するは礼儀正しく迎えてくれた70年以上続く会社の社長さん。正しく、鼻息の荒いウサギがライオンに交渉に行くようなものです。
結果として中田社長は快く迎えていただき、私の‘愛らしいヤツ’と私の考えをまるで子供同士が同じ遊びを研究し楽しむような感覚で話をして頂きました。いま改めて考えると私が中田社長と同じ立場の場合、同じ目線でテーブルに向き合い同じ行動が出来るのかと思うと感謝しか残っておりません。中田社長の立場関係なく忘れないモノづくり精神と探求心を体感させて戴き、今も私の大切な財産として思い出残る時間になりました。
中田社長のお力を十二分にお借りして製作は現実となり一気に加速しました。子供心を良い意味でも悪い意味でも忘れない私は兵庫県・豊岡市にある本社へ伺い制作現場に立ち会わせて頂きながら形状、各種塗装の意味や種類など無我夢中で現場の匂いを感じながら時間を忘れ、あれこれと注文を付け完成に向け全神経を集中していた覚えがあります。私はコンセプトを考えましたが形状の修正含め実際に作業された方は本当に大変だったと思います。
結果、‘愛らしいヤツ’は中田工芸株式会社のお力を借りて世に商品としてデビューする事が出来ました。10年以上経過した今でも弊社取引先のオーナー様からこのハンガー制作過程について、モノづくりとしての初心を忘れないように檄を頂く事があります。それだけ制作側の思いが商品を超え、見る側の心に伝わったのだと私は思い込んでいます・・・
まだAnatomy hanger1.0の話です。
しかしながら1.0の起源が私にとって2.0を創造し製作する上でとても重要な起点でしたので長々と説明してしまいました。(1.0について詳細を書くと倍以上話はありますが・・・)
さて、やっと本題の2.0です。
ここまで読んで頂いた方はお察しの通り1.0と同じく必殺のネンドで1.0を包みながら肉付けし、同じように‘愛らしいヤツ’を製作し発送して制作進行して頂きました。制作当時はCOVID-19の影響真っ只中でしたのでお互い電話と荷物の受け渡しのみで制作に取り組んで頂けた事、本当に感謝しております。
2.0では考えは大きく変えず、修正点や材質を変えて制作しました。本体の材質はFRP(強化プラスチック)。今回の制作にご協力いただきましたのはFRPであらゆる形状を製作されています(有)富士加工様へお願いしました。
殆ど1.0の思い出が多い文章でしたが今回ご紹介したい商品は2.0です。是非ご検討くださいませ。
本体の表面と色については骨をイメージした色と表面のテクスチャーをお願いしました。本体から繋がる紐については対候性に強いテントの縫製などで使う糸とポリエステルを江戸組紐にて紐状にオリジナルで製作しました。フック部分にはドイツ:FIDLOCKのマグネットパーツを使って簡単に取り外しが出来るようにしております。
※通常販売品に関しては一般的なハンガースタンドの高さに合わせて設計製作をしていますがサイズカスタム希望の方はオーダー後にメールのやり取りにてフックがかかる太さやフックから本体までの距離はご要望であれば無料にて希望通りに製作します。
但し、完成後の紐の調整は出来ません。完成後の紐調整に関しては別途有料にて変更も承ります。弊社製品取扱店舗でもご相談して購入することも可能です。
ハンガー:Anatomy hanger2.0
材質:本体:FRP(強化プラスチック)
連結紐:PTFE50% ポリエステル50%
連結パーツ:プラスチック:マグネット